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下着のお話

アタシは最近「福助」ブランドのお高い(でもアウトレット)おパンツを履いているわけだが

(おばさんのパンツなんか、どーでもええ!とお思いでしょうが、そこはひとつ
寛容なお心でご勘弁願いたい)

それには理由がある。

知り合いが交通事故にあった。

周りが「救急車!」と騒然とする中、知り合いの女はこう言ったそうな。

「お願い!救急車だけは呼ばないで!」

流血していたらしいが、なんと根性で自宅に帰ったという。

「だって、りんこ。その日に限って、下着が人には見せられないものだったの!」

あ~、あるある。

ユーミンの「ディスティニー」の世界だよね。

♪「どうしてなの、今日に限って安いサンダルをはいてた」

って、悲しい運命ね。

で、その女が言うに

「りんこ、この歳になると、何が起こるかわからないわけよ。
アンタも、いつなんどき、何が起こるかわからないんだから、パンツだけはいいのをお履き!」

この何が起こるかわからない話は突然、倒れるリスクのことを指しているので
艶っぽい話じゃないところが、哀しいのであるが

さすがに「アタシにも勝負させろよ!」とは言いづらい年齢にも外観にもなってしまい

「やっぱ下着は上下でベビーピンク色が恋愛運にはいいよね~」なんて会話には絶対ならないわけだが

そっか、救急隊員用とかERのドクター用にはエチケットとして必要だよなと
思い至った次第。

で、いろいろ試した挙句の「おばさんにやさしい福助」という高級ブランドになったのである。

このパンツ話には思い出がある。

忘れもしない東日本大震災。

アタシは羽田空港に居て、何が起こっているのかの情報が全くない中

家族の安否を確認するため、長蛇の公衆電話に並んだ。

自宅には息子と彼女がいて、帰る手段がなくなった彼女を泊めていいか?と息子が聞いたんだな。

誰も帰って来れないんだから、自宅は息子と彼女だけの夜になる。

アタシは言った。

「ああ、それじゃね、お母さんのタンスの上から2段目の引き出しにピンクの
サテンの袋があって、もしもし、聞いてる?

その中に(未使用の勝負)パンツがいっぱい入っているから、それを彼女に渡してちょーだい。

母が(30年前の)OL時代に千趣会で毎月集めていた、かわいいパンツたちなのよ!

ちょっと、聞いてるの?パンツだっつーの!2段目じゃなかったら、3段目かも!?

どれ使ってもいいからね!ちゃんと探すのよ、わかった?」

日本中が未曾有の大災害に震えている中、この日本国の非常事態に際して

アタシは「勝負パンツ」だけを熱く語っていたのである。

我ながら、どんな思考しとんねん!?である。不謹慎極まりない。

これを後日、友人に話したら

「30年前の勝負パンツ!?しかも、未使用!?あ、つまり、あれだ。

勝負しきれなくて、(大量に)残ってたわけだ!」と抜かされた。

もったいなくて使えなかっただけ(負け惜しみ)だが、あんなか細い頼りない布に

身を委ねることができなくなるなんて、30年後の未来を想像できなかったのだ。

たかがパンツ、されどパンツ。

パンツひとつにも歴史がある。
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