手術台から生還したぜ!(後編の後編)
医者っていうのは、基本、切り刻むのが好きなんだろうか?
それとも、皮膚科という科が外科と違って、そんなに切り刻めないから
美味しいカモが来ると、我も我もと名乗りを上げて、メスを持ちたがるんだろうか?
脂肪ちゃんの除去に医者3人。
どう考えても過剰人数だろう?
つまり、もう、これは絶対に実験台だなっていう雰囲気が濃厚である。
ふたりの医者は目しか見えない(帽子にマスクだから)が、明らか若いだろう!?
ひとりは男の人というより男の子、ひとりは今風のメークの女の人、そして、S女先生というラインナップである。
まさか、これが初手術じゃないよね???
確かめたいけど、今更、確かめて「そうですけど、何か!?」とか言われたらどうするのだ!?
心臓の鼓動と思われるモニターの音がピッピッピッと鳴っているが
今のでピーーーーーって逝きそうだ。
他にも血圧計だの、なんだのっていう機械が体についている。
BGMにイージーリスニングが奏でられているのだが、そんなもん、慰めになるかーいっ!!
点滴用の針が手の甲に入れられ、めちゃ痛い。
だからー、針入れるのは、男の子医者じゃくて、ナースが良かったの!
案の定、ド下手ジャン!
「めちゃ、いた~い」と抑揚をつけずに言ったら
3人の医者が大笑いしやがった。
「いやだ、痛くないみたいな言い方で痛いって言うし~(うける~)」と今風メーク。
アホか!痛いと訴える患者の声を聞け!!
「あっ、これは仕方ないっす。針が刺さってるんで」と男の子。
痛いときは痛いって言えって言った、さっきの注意事項はさっそく破棄かい!?
気持ちを変えるために、違うこと、考えよう。えーと。えーと。
脳裏に描いたのは、高校のときにやった解剖だった。
ああ、アタシが解剖したカエルちゃんだったかな?
記憶が定かではないが、ヤツはこんな気持ちだったんだろうなぁ・・・と今頃、詫びる。
「じゃ、始めますか」
えー?ゴム手袋を両手パーにして、みんなで見せ合う儀式は?
ないんかーいっ!?
「まずは、両方一気に、麻酔を注射しますね。周りを何度も刺すんで痛いですよ~」
あなた、一度に2本の注射針を体に突っ込まれたことありますか!?
男の子医者が「これ痛いですか~?」って「ブラジルの人、聞こえますか~?」って
感じで問いかける。
こういうときに人間というのは判断力というか決断力が出るものだ。
「痛いような、痛くないような、いや、待てよ、痛いような気もしないでも・・・」
男の子医者。
「じゃあ、追加で!〇■△(麻酔の薬品名と思われる)ください!」
・・・
「あ、ナースいないんだった」
おい!男の子が自分で棚に麻酔を取りに行ったよ!
そうこうしている内に男の子と今風メークが二人同時に言った。
「じゃ、同時に切ります!」
これって、揃えて切らないといけないもの?そういうルール?
麻酔をしているとは言え、雰囲気で今、横に切りやがったなっていうのがわかる。
今風メークが「これだ!これだ!」と長女の存在を確認して喜んでいる。
男の子は案の定、次女との戦いに苦戦しているみたいだ。
ドS女医も切りたかったんだろうに、指示係のようだ。
「そう、そこ。もう少し、深くやってみて。いや、いや、そうじゃなくて、そう、そんな感じ」
もう、自分が三枚に下ろされる鯵の気分だ。
今風メークが長女を取り上げたみたいだ。
「ああ、結構、大きいわね」とはドS女医。
ドS女医はふたりの医者を同時に見ることは出来ないみたいで
今風の横に居るなと思ったら、今度はアタシの足側に回ってから男の子の方に来るので
微妙な待ち時間があるのだ。
「これでいいでしょうかね?」と男の子がいちいち聞いている。
今風も確認を取るので
ドS女医はその度に「ちょっと待ってて」と患者の足側から移動してくる。
行ったり、来たり、アタシの体を挟んで、お忙しいのだ。
「う~ん、まだあるかな?取り切れたかな?これでいいかな?いいことにしちゃおうかな?」
ドS女医が最終チェックで迷い出した。
しちゃおうかな?だとーーーー!!!???
おい!!全部、取れよ!!
「ちょっと待って~。アタシがやってみるから。う~ん、ありそうだけどな・・・
うんうん、これで、これでいーでしょ。いーと思います。いーですよね? いーと思います」
誰に確認取っとんじゃい!?
頼むから、おめ~だけはしっかりしてくれ、ドS女医さんよぉ~。
と最後はかなりグダグダな終わり方になって
「両方、一気に縫いまーす」と言われ、チクチク縫っている様が想像できた。
ドS女医が「(取ったブツである長女と次女を)見る~?」と持って来てくれた。
ホルマリン漬けになった、宇宙人チックな丸い物体がガラス瓶の中でふわふわ浮かんでいる。
昔、理科室でこういうのを見たことある気がする、要するにキモいものだ。
「結構、大きかったね。こっち(次女)も取れてよかった!これ病理に回すからね~」
ってなわけで2時間超かかると言われていた手術が1時間チョイで終わってしまった。
「やっぱさぁ、同時にやると早いわ!」
と満足気なドS女医にご挨拶して、手術室から無事に生還したのである。
次回、手術をやる際は全身麻酔でお願いしたいと思ったアタシである。
(完)
それとも、皮膚科という科が外科と違って、そんなに切り刻めないから
美味しいカモが来ると、我も我もと名乗りを上げて、メスを持ちたがるんだろうか?
脂肪ちゃんの除去に医者3人。
どう考えても過剰人数だろう?
つまり、もう、これは絶対に実験台だなっていう雰囲気が濃厚である。
ふたりの医者は目しか見えない(帽子にマスクだから)が、明らか若いだろう!?
ひとりは男の人というより男の子、ひとりは今風のメークの女の人、そして、S女先生というラインナップである。
まさか、これが初手術じゃないよね???
確かめたいけど、今更、確かめて「そうですけど、何か!?」とか言われたらどうするのだ!?
心臓の鼓動と思われるモニターの音がピッピッピッと鳴っているが
今のでピーーーーーって逝きそうだ。
他にも血圧計だの、なんだのっていう機械が体についている。
BGMにイージーリスニングが奏でられているのだが、そんなもん、慰めになるかーいっ!!
点滴用の針が手の甲に入れられ、めちゃ痛い。
だからー、針入れるのは、男の子医者じゃくて、ナースが良かったの!
案の定、ド下手ジャン!
「めちゃ、いた~い」と抑揚をつけずに言ったら
3人の医者が大笑いしやがった。
「いやだ、痛くないみたいな言い方で痛いって言うし~(うける~)」と今風メーク。
アホか!痛いと訴える患者の声を聞け!!
「あっ、これは仕方ないっす。針が刺さってるんで」と男の子。
痛いときは痛いって言えって言った、さっきの注意事項はさっそく破棄かい!?
気持ちを変えるために、違うこと、考えよう。えーと。えーと。
脳裏に描いたのは、高校のときにやった解剖だった。
ああ、アタシが解剖したカエルちゃんだったかな?
記憶が定かではないが、ヤツはこんな気持ちだったんだろうなぁ・・・と今頃、詫びる。
「じゃ、始めますか」
えー?ゴム手袋を両手パーにして、みんなで見せ合う儀式は?
ないんかーいっ!?
「まずは、両方一気に、麻酔を注射しますね。周りを何度も刺すんで痛いですよ~」
あなた、一度に2本の注射針を体に突っ込まれたことありますか!?
男の子医者が「これ痛いですか~?」って「ブラジルの人、聞こえますか~?」って
感じで問いかける。
こういうときに人間というのは判断力というか決断力が出るものだ。
「痛いような、痛くないような、いや、待てよ、痛いような気もしないでも・・・」
男の子医者。
「じゃあ、追加で!〇■△(麻酔の薬品名と思われる)ください!」
・・・
「あ、ナースいないんだった」
おい!男の子が自分で棚に麻酔を取りに行ったよ!
そうこうしている内に男の子と今風メークが二人同時に言った。
「じゃ、同時に切ります!」
これって、揃えて切らないといけないもの?そういうルール?
麻酔をしているとは言え、雰囲気で今、横に切りやがったなっていうのがわかる。
今風メークが「これだ!これだ!」と長女の存在を確認して喜んでいる。
男の子は案の定、次女との戦いに苦戦しているみたいだ。
ドS女医も切りたかったんだろうに、指示係のようだ。
「そう、そこ。もう少し、深くやってみて。いや、いや、そうじゃなくて、そう、そんな感じ」
もう、自分が三枚に下ろされる鯵の気分だ。
今風メークが長女を取り上げたみたいだ。
「ああ、結構、大きいわね」とはドS女医。
ドS女医はふたりの医者を同時に見ることは出来ないみたいで
今風の横に居るなと思ったら、今度はアタシの足側に回ってから男の子の方に来るので
微妙な待ち時間があるのだ。
「これでいいでしょうかね?」と男の子がいちいち聞いている。
今風も確認を取るので
ドS女医はその度に「ちょっと待ってて」と患者の足側から移動してくる。
行ったり、来たり、アタシの体を挟んで、お忙しいのだ。
「う~ん、まだあるかな?取り切れたかな?これでいいかな?いいことにしちゃおうかな?」
ドS女医が最終チェックで迷い出した。
しちゃおうかな?だとーーーー!!!???
おい!!全部、取れよ!!
「ちょっと待って~。アタシがやってみるから。う~ん、ありそうだけどな・・・
うんうん、これで、これでいーでしょ。いーと思います。いーですよね? いーと思います」
誰に確認取っとんじゃい!?
頼むから、おめ~だけはしっかりしてくれ、ドS女医さんよぉ~。
と最後はかなりグダグダな終わり方になって
「両方、一気に縫いまーす」と言われ、チクチク縫っている様が想像できた。
ドS女医が「(取ったブツである長女と次女を)見る~?」と持って来てくれた。
ホルマリン漬けになった、宇宙人チックな丸い物体がガラス瓶の中でふわふわ浮かんでいる。
昔、理科室でこういうのを見たことある気がする、要するにキモいものだ。
「結構、大きかったね。こっち(次女)も取れてよかった!これ病理に回すからね~」
ってなわけで2時間超かかると言われていた手術が1時間チョイで終わってしまった。
「やっぱさぁ、同時にやると早いわ!」
と満足気なドS女医にご挨拶して、手術室から無事に生還したのである。
次回、手術をやる際は全身麻酔でお願いしたいと思ったアタシである。
(完)
- 関連記事
-
- 手術台から生還したぜ!(後編の後編) (2014/06/27)
- 手術台から生還したぜ!(後編の前編) (2014/06/27)
- 手術台から生還したぜぃ!(中編) (2014/06/26)
- 手術台から生還したぜ!(前編) (2014/06/25)
- 死ぬほどじゃないけど、苦しかった話 (2014/05/28)
スポンサーサイト